外国人の活躍の場、介護現場にも 常勤の半数占める例も

朝日新聞 2018年6月3日

入所者の食事の準備をする外国人スタッフ=2018年5月11日午前11時38分、香川県坂出市の特別養護老人ホームきやま
 コンビニやファストフード店で接客する外国人は、いまや珍しくなくなった。日本人の人口が減る一方、日本で暮らす外国人は過去最高の256万人(昨年末現在)に上り、外国人が身近な社会になった。常勤介護職員の半数が外国人という香川県坂出市の社会福祉法人を訪ねた。

介護の外国人実習生、初の受け入れ認定 6月にも来日
 「ごはんですよ。おいしいよ、食べてね」
 5月中旬、香川県坂出市の特別養護老人ホーム「きやま」。アブリート・パンズエロさん(28)がスプーンを持って入所者の女性に話しかけた。
 パンズエロさんはフィリピン出身。日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)に基づき、2年半前から介護福祉士の候補者としてこの施設で働く。入所者の食事作りや、入浴、トイレの介助が主な仕事だ。
 日本は2008年から、EPAでインドネシアから介護福祉士の候補者を受け入れている。国内の介護施設で3年間働くと介護福祉士の受験資格が得られ、国家試験に合格すると在留資格を得られる仕組み。その後、フィリピン、ベトナムからも受け入れが始まり、昨年度の受け入れ人数は752人。累計で約3500人に上る。
 きやまを運営する社会福祉法人敬世会の永井智恵子常務理事らは、スウェーデンを視察した際、アフリカから働きに来た介護職員が高齢女性と手をつないで散歩するのを見た。「日本もいずれこうなる」と受け入れの準備を始めたという。
 EPAの制度が始まった08年にインドネシアの2人を迎え入れるなど毎年、受け入れを続け、いまでは法人全体の常勤介護職員100人のうち53人が外国人。こうした積極的な受け入れの姿勢は、今年4月発行の大学のテキスト「介護福祉学概論」でも採り上げられた。
 永井常務理事は「入所者からも優しく真面目で仕事が丁寧と評判がいい。昔の日本人のような印象を受けるようだ」と言う。
 敬世会は、給与などの待遇を日本人職員と同じ水準とし、家電製品を無償で貸与。イスラム教のお祈りの時間と場所も設けた。当初は坂井恭一施設長(45)が「困ったら24時間、いつでも電話して」と携帯電話の番号を教え、インドネシアに留学経験がある日本人職員が支える態勢を取った。
 当初は坂井さんが電話で相談を受けることが多かったが、3年目になると先輩が後輩の面倒をみる伝統も生まれたという。それでも「帰国したい」と訴える人も少なくなく、16年までに受け入れた76人のうち、半数近い35人が帰国した。
 一方、敬世会で働き、受験した人たちの介護福祉士試験の合格率は7割。EPAで来日した人たちの合格率を上回る。坂井施設長は「しっかり育てられる少人数から始め、手厚くサポートしたことで軌道に乗った」と話す。
 定員60人のきやまでは、一緒に暮らす入所者10人の「ユニット」を、職員4人で介護する。ユニットの介護リーダーを務める外国人職員もおり、坂井施設長は「能力があれば日本人と同様に扱っている。ゆくゆくは管理職も任せられる人材を育てたい」と話す。

外国人は奪い合いも…
 介護分野の人手不足は深刻だ。厚生労働省の推計では2025年に38万人足りなくなるとされる。
 天理大学の松田美智子教授(高齢者福祉)は「特に地方は深刻で、外国人なしでは立ちゆかない。EPAで来た外国人介護職員はホスピタリティーが高く、利用者の反応は悪くない」と話す。施設間で、EPAで来日した介護職員の奪い合いも起きているという。
 政府は昨年11月から外国人技能実習制度の対象に介護職を追加するなど、外国人を活用する動きが広がっている。ただ、EPAで来日した外国人の中には、日本や日本人にいい印象を持たずに帰国するケースもあるといい、松田教授は「受け入れる施設が生活面も含めて手厚いサポートをする必要がある」と言う。
 松田教授らの調査では、介護職員の離職は、職場の人間関係や業務の運営への不満が原因になることが多いという。松田教授は「外国人職員を支援している日本人職員のサポートも大切だ」と指摘している。

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