フィンランド 医療・福祉職に共通資格…介護や保育 容易に転職

読売新聞 2018年9月4日

テーリカンガス里佳さん(右)が準備した注射器で、糖尿病の女性がインスリンを打つ。「その人が好きな話題を見つけ、話しかけます。コミュニケーションが大事です」(フィンランド・ポルボー市で)

 北欧フィンランドには、ラヒホイタヤという高齢者介護や保育などに携わる人の共通基礎資格がある。幅広い領域の知識や技能を身につけた上で職種を決める仕組みで、異なる職種への転職も比較的容易だ。介護、保育とも人手不足が課題となっている日本でも人材育成の考え方として注目されている。(滝沢康弘)
 
人材不足の日本も注目
 「お昼のお薬を飲みましょうね」。首都・ヘルシンキ近郊のポルボー市にある老夫婦宅を訪れたテーリカンガス里佳さん(46)が、女性(85)に優しく話しかけた。在宅介護の担い手として服薬管理や食事、シャワーの介助のほか、糖尿病患者の血糖値測定、インスリン投与の注射も担当している。訪問は多い日だと20か所を超える。「一人で回るため責任は重いが、裁量もあって、やりがいがある」と話す。
 結婚を機に夫の母国フィンランドに住んで約20年。失業中に2年間のラヒホイタヤ養成講座を受け、2014年に資格を取得した。
 里佳さんは初めから介護職で働く予定だったが、保育の実習も受けた。「戸惑いもあったが、実際にやってみると恐れていたほどではなかった」と振り返る。
 同じラヒホイタヤでも、選ぶ職種によって業務内容に違いがあるため、基礎的なことを学んだ後、追加で専門実習を受けるのが一般的。ただ、基本的には職種間を自由に移動できる。「選んだ仕事に満足できなければ他の分野に挑戦できる」。里佳さんの元同僚も、試しに移った保育園でそのまま働き続けているという。
 こうした仕組みは日本でも注目され、政府内でも検討課題として議論されてきた。高齢化が進んだ地域で保育士が介護職に転向したり、保育所の新設が相次ぐ都市部で介護職から保育士に転じたりしやすくなるなど、人材の流動性が高まるからだ。
 ラヒホイタヤに詳しい津田塾大の森川美絵教授(福祉政策論)は「地域に住み続けたいが、自分の職種の人材は足りている場合や、子どもやお年寄りが共に過ごせるようなケア拠点が増えていく時に、働き手の選択肢が広がる。家事から医療的な行為まで、利用者の生活に寄り添って行うため、多職種の連携を支える役割も期待できる」と話す。

  ◆ラヒホイタヤ =フィンランド語で「日常的に寄り添う人」を意味する、同国独自の共通基礎資格制度。ホームヘルパーや保育士、准看護師、歯科助手といった福祉や保健医療分野の10種類の資格を統合し、1990年代初めから育成が始まった。

「ポチッ」して頂けると励みになります♡

仲間募集中

業務拡大につき、看護師、理学療法士、作業療法士、事務職+保育士・歯科衛生士・栄養士・管理栄養士さんを募集中。
週1回1時間から働ける柔軟で明るい職場で、子育てママや社会人学生も在籍。
すぐに考えていないけれど、少しでも御関心があれば、とりあえず雑談させて下さいませ。

コメントを残す