看護師目指す社会人増加 40歳以上、10年で2・4倍 会社員らの経験に期待

共同通信 2018年7月23日

 社会人を経験した後に、看護の道に進む人が増えている。厚生労働省によると、2017年度に看護専門学校などに入学した40歳以上の人は07年度の2・4倍。元会社員や子育てが一段落した女性の姿も目立つ。体力的なハンディはあるが、人生経験や第三者的な視点に期待する声も強い。
 3人の子どもを育てる伊藤裕美(いとう・ひろみ)さん(42)は40歳の時に福島看護専門学校に入学した。大学卒業後郵便局で働いていたが、子どもの頃の夢は看護師。「このままでいいのか」と悩み、近親者を亡くしたことなどをきっかけに決断した。「家族はびっくりしていたが、いいんじゃないと背中を押してくれた」。将来は訪問看護師を目指すという。
 伊藤さんと一緒に学ぶ武藤厚子(むとう・あつこ)さん(34)は3人目の子どもを産んだ時、看護師の仕事ぶりを見て「将来人を助ける人間に」と願った。同時に「それなら自分がなればいい」と気付き、看護の道に進むことを決めた。
 渡辺艶子(わたなべ・つやこ)校長は「社会人学生は目的意識が明確で意欲的。他の学生を引っ張る存在として期待している」と高く評価する。
 看護師になるには専門学校などで学んだ後、国家試験に合格する必要がある。短大、大学を含めた30歳以上の入学者は、07年度の1509人から2246人と10年で1・5倍に増加。40歳以上は151人から359人になった。
 背景には、少子化で学生減が見込まれる中、社会人経験者を増やしたい養成校側の事情もある。小論文を試験科目に取り入れるなど配慮。日本看護学校協議会の遠藤敬子(えんどう・けいこ)事務局長は「社会人受け入れ枠を増やす動きが目立つ」と話す。
 女性が働く場は広がったが、安定した収入を得て働ける仕事は多くない。看護師は国家資格を取得し、家庭と両立しながら働ける数少ない仕事の一つ。若い看護師に比べ、夜勤などの勤務をこなす体力や技術習得のスピードなどで不利な面がある一方、異業種での仕事や介護やみとりを身近に感じた経験などが生かされるとの期待もある。
 神戸市の総合病院のリハビリ部門で働く看護師(44)は10年以上事務職として働いた後、35歳で看護学校に入学。評価されないことが不満で、「一生食いっぱぐれのない仕事を」と転身した。
 最初は年下の看護師からきつく指導されるのがつらかったが、接客やパソコンのスキルが生かされる場面が増え、今はリーダーを任されている。「自分に向いている仕事。決断して良かった」。
 閉鎖的になりがちな医療現場と患者のつなぎ役としての期待もある。研究職から助産師になり、4月から大学で教える近藤祥子(こんどう・よしこ)さんは「医療現場では当たり前でも患者には分かりにくいといったこともあり、第三者的な目は必要。多職種が連携する場面でも活躍できるのではないか」と話した。

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