ベネズエラ経済危機、壊滅状態の小児病院

AFP 2018年5月21日

ベネズエラ経済危機、壊滅状態の小児病院❮ 1/9 ❯
ベネズエラの首都カラカスにあるJ・M・デ・ロス・リオス小児病院でがんの化学療法を受ける少女と付き添う母親(2018年4月10日撮影)。

【5月21日 AFP】8歳のルイジート君が待っている脳腫瘍の手術は、ただでさえ見通しの困難な手術だ。しかも、ここベネズエラでは、病院に薬も機能する機器もほとんどないことが当たり前になってしまっている。
 9平方メートルの病室には、生後4か月の女児もいる。女児は巨頭症で、治療には、頭部にたまる水を排出するバルブが必要だが、この病院にはそれがない。結果、たまった水のせいでその頭はバスケットボール大ほどにまで膨れ上がっている。
 この狭い病室には9歳のアンソニー君もいる。背中を手術したのだが、病院にも近所の薬局にも清潔な包帯がないために傷口の状態が悪化してしまっている。
 ベネズエラの首都カラカス中心部にあるJ・M・デ・ロス・リオス小児病院(J.M. de los Rios Children’s Hospital)では、通常なら避けられるはずの多くの病状が、どの病室でも目に飛び込んでくる。ベネズエラは石油埋蔵量が豊富な国であるにもかかわらず、同国の薬剤師団体によると全国の病院や薬局で必要とされている薬や医療器材のうち、入手可能なのはわずか20%に過ぎない状態だという。
 食べ物と医薬品の慢性的な不足は、数年にわたって続いている同国の経済危機によってもたらされている。国際社会はこうした状況について、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領に非があるとしている。
 医薬品はインターネット通販でも買えるが、使えるのは米ドルのみ。米ドルは収入のつましい家庭では手に入らない。アンソニー君の背中に広がる傷を見つめながら、祖母のマリア・シルバさんは「うちにはドルはない。私たちは切羽詰まっている」と語った。
 子どもたちを担当するエドガル・ソティージョ医師は「水ぼうそう、結核、マラリア、疥癬(かいせん)といった患者を診ている。病院には水がないときもある。患者が感染症にかかった場合、抗生物質もなく、状態は悪化するばかりだ」と語った。

■「医師たちは国から出ていっている」
 社会主義者のマドゥロ大統領は、自国の窮状は米国に仕掛けられた「経済戦争」のせいだと非難し、状況改善を急ぐと約束した。しかし、16歳のユルアンヘラさんには時間がない。肺がんにかかっている彼女は次の化学療法の開始を待っている。母親のシュガーさんは娘に必要な治療を見つけることができるのかどうかも分からず、なすすべもなく泣いている。がんのような慢性疾患については治療に必要な医薬品の95%、つまりほとんどすべてが手に入らない。
 「娘は化学療法のセッションを17回受けなければならない」とシュガーさん。必要な薬は外国から購入する必要があるとしながら、「うちにはお金がない。支援を受けている」と続けた。
 隣の病室では、4歳のルアナちゃんが印刷されたアルファベットの文字を切り抜いて遊んでいた。彼女も脳腫瘍の手術を待っている。母親のロサさんは「2か月間、化学療法を受けることができずにいた。責任は、抗議デモが起きないと市民の声に耳を貸さない指導者にある」と述べた。
 このがん病棟にあるMRIなどの画像診断装置や放射線治療用の医療機器は動かない。匿名で取材に応じたある女性の医師は「機器が不足していて治療できない」と嘆く。「症状が改善しても、薬が不足していたために悪化し、亡くなってしまった患者らもいる」
 水道管は壊れ、動いているエレベーターは1台だけ。ホールにはネズミやゴキブリが目につく。この小児病院には対処すべき問題が山ほどあると医師たちは言う。
 腎臓病科のベレン・アルテガ科長は、AFPの取材に月給では1キロの肉しか買えないと話した。国際通貨基金(IMF)は今年のベネズエラのインフレ率は1万3000%超に達すると予測している。
 抗生物質がないために、病院で4人の子どもが亡くなるのを見たとアルテガ医師は言う。最新統計によると2015年から16年にかけて、乳幼児の死亡率は30%以上も上昇した。
「医師たちは国から出ていっている」とアルテガ氏。ベネズエラ医師会によると、医師の3分の1が国外に移住してしまったという。

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