生活援助サービス、要介護2では1か月34回以上の場合、市町村に届け出を―厚労省

MedWatch 2018年5月14日

 介護保険の生活援助サービス(訪問介護)について、一部に「通常からかけ離れた頻回の利用」があることを踏まえ、今年(2018年)10月より、「1か月当たりの利用回数が極めて多くなる場合、ケアプランを市町村(介護保険の保険者)に届け出る」仕組みを設ける。具体的には、▼要介護1:27回▼要介護2:34回▼要介護3:43回▼要介護4:38回▼要介護5:31回—以上の場合にケアプランの届け出が必要となる―。
 厚生労働省は5月2日に告示「厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護」を公布、併せて10日に通知「『厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護』について」を発出し、こうした内容を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

頻回な生活援助利用について、市町村の地域ケア会議でケアプランを検証
 2018年度の今回介護報酬改定に関する議論の中で、「要介護度が低い利用者の一部が、生活援助中心型サービスを月100回以上利用している」実態があることが分かり、「不適切な利用がなされているのではないか」との指摘がありました(財政制度等審議会・財政度分科会)。この点は、具体的な単位数・基準に関する論議を行う社会保障審議会・介護給付費分科会でも議論されましたが、「在宅の認知症高齢者などでは、服薬支援のために1日3回の訪問を行う必要があるケースもある」ことが厚生労働省から説明されています(1日3回×31日=1か月当たり93回となり)(関連記事はこちらとこちら)。
財政制度等審議会の分科会(10月25日開催)の資料を、参考資料として厚労省が示した
 こうした状況を踏まえ、「通常の利用状況からかけ離れた利用回数となっているケアプラン」について、市町村の地域ケア会議で「必要があって頻回の利用となっているのか、あるいは不適切な部分があるのか」を検証することとなっています。
 このため今般、厚労省は「直近1年間(2016年10月-2017年9月)の生活援助サービスの実績(給付実績)」をもとに、「全国平均利用回数+2SD(標準偏差)」以上のケースを「通常の利用状況からかけ離れた利用」と設定し、そうしたケアプランについて市町村(介護保険の保険者)への届け出を求めることとしました(今年(2018年)10月1日より適用)。
 具体的には、1か月当たりの生活援助サービスの回数が、▼要介護1:27回▼要介護2:34回▼要介護3:43回▼要介護4:38回▼要介護5:31回—以上の場合にケアプランの届け出が必要となります。
 生活援助サービスは、要介護高齢者の在宅生活を可能とするために重要なサービスですが、一方で「あればあるほど便利であり、不適切利用を招きやすい」との指摘もあります。介護保険制度改正や介護報酬改定に関する論議でも、後者を重視し「生活援助サービスは介護保険給付から除外すべきではないか」との意見も出ています。要介護高齢者の状況を十分に精査したうえで、必要かつ適切なケアプランの作成が求められます。

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