「女性が活躍する会社」1位はジョンソン&ジョンソン

2018/5/15 日本経済新聞 朝刊

日本経済新聞社と女性誌「日経ウーマン」による2018年の「女性が活躍する会社ベスト100」は、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループが初の1位となった。

目を引くのはダイバーシティ(人材の多様性)推進で有志社員が活動していること。多様性尊重の文化を現場から根付かせ、20年に女性管理職比率30%を目指す。
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「女性社員が自分らしく自信をもって仕事ができる職場環境へ」。ジョンソン・エンド・ジョンソンの3つのカンパニーと製薬カンパニーにあたるヤンセンファーマ(東京・千代田)からなるJ&J日本法人グループはこんな目的で、05年からウィメンズ・リーダーシップ・イニシアチブ(WLI)が活動を始めた。

女性活躍といえば多くの企業で「ダイバーシティ推進室」など専門部署が旗振り役を担う。同グループのWLIが違うのは、公募で集まった男女の有志社員約100人が活動する点。多様性を尊重する文化を根付かせる役割を担う。18年に「I」の意味を「アンド・インクルージョン(多様な人材が能力を発揮できる組織づくり)」に改め、男性の育休体験座談会も開く。

WLIは隔年で社員の意識調査をしており、そこから新たな研修の導入につながった例もある。例えば「ハードな仕事は女性に気の毒」といった「無意識の偏見」の払拭を目的に開く研修だ。13年の調査で女性自身のキャリア志向の低さが浮かびあがったが、その背景にはこういった女性部下を持つ男性管理職の偏見が影響しているのではないかと、14年度から改善のための研修を始めた。

無意識の偏見は、育児中の社員に「子育てで大変だから」と仕事を軽減するかわりに昇進・昇格の機会が減る「マミートラック」の問題を起こしかねない。研修の成果もあって、育休復帰後に営業所長に昇格する女性も登場した。

その1人がヤンセンファーマの固形腫瘍事業本部東京第2営業所の所長、岸本佐和子さん(40)だ。「考えた仕組みが成果に結びついたとき、メンバー皆で喜び合える。こんな幸せがあるとは思いませんでした」

13年4月に2度目の育休から復帰し、16年1月に所長に昇格した。それまでに夫の単身赴任も経験したが、有給の看護休暇や法人契約のベビーシッターの利用、さらに就学時まで年間30万円が支給される育児支援制度を使って実母に育児を手伝ってもらいながら、キャリアを積んできた。

内示を受けた当時は本社のマーケティング部に所属。「まだ早いのでは」と驚く岸本さんに上司は「できるからやってみなさい。ここでの戦略を実践し成長できるチャンスだ。こんなにいいポジションを逃してはいけない」と説いた。自分以外に子育て中の女性所長がいたことも背中を押した。初めて所長を務めた営業所ではマーケティングの知見を生かし社内トップの成績を達成、2カ所目の今は部下9人を率いる。

同グループでは16年にコンタクトレンズを扱うビジョンケアカンパニーで初の女性トップが誕生。女性管理職比率は17年度で23.5%で20年に30%を目指す。岸本さんも使った各種の育児支援策をグループ共通で整えるほか、18年に場所や日数に制限のないテレワークを導入するなど働き方改革も進める。人材育成では、男女ともにカンパニーをまたいで異動する「クロスセクター」を推進。15年12月にグループ内の人事組織を一本化して力を入れる。

ビジョンケアカンパニーでブランドマーケティングを担当していた壺内美和さん(45)はメディカルカンパニーのシニアマネジャー公募に手を挙げ、17年6月に異動と昇格を果たした。医療機器などの滅菌製品を扱うASP事業部マーケティング部に所属。「本部長と一緒に生産や営業など他部門との会議に出席するようになり、多面的に高い視点から仕事を捉えられるようになった」と目を輝かせる。異動先拡大で成長のチャンスも広がっている。

■異動でやりたいこと発見 ~日色保社長に聞く~

――有志社員によるWLIの活動がユニークです。

非常に特徴的だと思う。トップダウンと制度は多様性尊重の方向づけに必要だが、同じくらいの力でボトムアップの組織が動いている。意識が高まり偏見を持たない土壌ができてきた。ただ、ダイバーシティは環境整備に過ぎない。一番こだわるのは人材育成だ。

――人材育成のポイントは異動のようですね。

日色保 ジョンソン・エンド・ジョンソン社長 
やったことがないことをやらせることが人を育てる。特に女性は若いうちにいくつか経験させると効果的だ。そのうちに自分のやりたいことが分かり、30歳前後で結婚や出産などライフイベントを迎えた際も、どう続けていくかを考え残ってくれる。それがないと辞めてしまう。
キャリアの幅を広げる材料には事欠かない。海外のグループにも手を挙げられる公募制やクロスセクターで多様な仕事を提供できる。メディカルカンパニーでは、13年から特に能力の高い入社3~5年の20人弱を経営幹部が皆で協議して異動させるプログラムを導入、必ず女性を入れている。

――現在の評価は。

今は5合目。職種による差が大きい。営業は女性が増えたがまだ少なくテコ入れする。女性社員の声を聞けば聞くほど個々の事情は異なり、オーダーメード対応する上司の役割が重要。個々の事情に寄り添い、一人一人がキャリアのオーナーシップを持って能力を発揮できる体制を目指す。

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■成長へ「厳しく温かく」 ~取材を終えて~

「成長を求める人に対するサポートが厚く、チャレンジする機会がある」。そんな岸本さんの言葉が印象に残った。日色保J&J社長は10年ほど前、グループ会社のアジア太平洋地域の責任者として各地を訪問。行く先々で「意識が高くパワフルで優秀」な女性たちに出会い、日本の遅れを痛感したという。

「女性をただ増やすのではなく、ポテンシャル(潜在能力)を最大限に引き出す」と力を込める。「うちは『厳しく温かく』なんです。優しいだけでは成長しない」とも。実体験に裏打ちされた女性の能力発揮への期待感。それが女性たちに伝わり、挑戦に向かわせる素地をつくるのだろう。改めてトップの本気度が大切なことを教えてくれる。

(女性面編集長 佐々木玲子)

[日本経済新聞朝刊2018年5月14日付]

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