在宅患者の体調、24時間把握…リストバンド型端末が脈拍数を自動送信

読売新聞  2018年5月8日

 在宅医療を受ける高齢者向けに、腕に着けるだけで体調の変化が自動的に医師や医療機関に伝えられる機器を岐阜県の病院などが開発し、医療機器の認証を受けた。認証取得は先月12日。一人暮らしの高齢者を訪問しなくても、効率的に健康状態を確認できるとして、医療機関や介護の現場などから「使用したい」との要望が寄せられているという。高齢化が進む中、在宅医療を支援し、患者の安全性を高められると期待されている。
 機器はリストバンド型の防水仕様の端末(重さ約25グラム)で、通称「いつでもウォッチ」。松波総合病院(岐阜県笠松町)の松波英寿理事長(61)が発案した。腕に装着しておけば、専用の送受信機を介して脈拍の状態が送信され、即時にかかりつけ医のパソコンやタブレット端末に反映される。脈拍数低下などの異常があると医師に自動的に通知され、患者はボタンを押すだけで医師に体調の異変などを伝えられる。
 患者が自宅にいながら、医師は健康状態を把握でき、緊急時には救急車の手配や応急処置といった対応が迅速にできる。医師は訪問の回数を減らせるため、在宅医療の普及にもつなげられるという。孤独死の防止になるほか、災害時の安否確認にも活用が可能だ。
 同病院は昨年11月以降、院内や特別養護老人ホームなどで実証試験を実施。現場からは「脈拍などのデータが蓄積できるため、入所者の体調の変化が分かりやすい」などの反応があったという。同病院と共に機器を開発した病院・介護関連サービス会社「トーカイ」(岐阜市)は「小型化し、コストも抑えられる。医療機器認証も受け、安心して使ってもらえる」とする。
 すでに全国約40か所の医療機関や介護施設などから実証試験を行いたいとの要望があった。医師や施設の要員が限られる中、在宅患者や施設入所者について、身体に負担をかけず体調が把握できる点が評価されているという。
 松波理事長は「こうした機器がないと、高齢化が進む日本の将来の医療は絶対に成り立たない。普及させていきたい」と力を込めた。

「在宅」急増…2025年には100万人
 機器が注目される背景には、今後、在宅医療を受ける人は急増すると見込まれることが挙げられる。厚生労働省によると、2014年の約65万人から、25年には約100万人に達する見通し。医師やベッドの数が限られるため、同省は診療報酬を手厚くするなどして在宅医療を推進している。同省在宅医療推進室の担当者は「機器の有効性が分かれば、在宅医療を普及させる参考になる」と期待する。
 在宅医療に詳しい新宿ヒロクリニックの 英裕雄医師は「自宅で診療を受けたいという患者の希望をかなえ、医療の選択肢を増やすことにもつながる」と評価する。その一方で「機器のようなハード面だけでなく、今後は、いつ、どこで、誰が患者を見守って対応するかなど、地域参加型の高度な態勢づくりが必要になるのでは」と課題も指摘している。

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