訪問看護ステーションや病院で看護師不足、看護師定着にはメンタルケアや働き方改革を―日看協

MedWatch 2019年1月16日
 2017年度における都道府県ナースセンターの求人・求職状況を見ると、訪問看護ステーション病院などで看護師不足が深刻である。「退職したい理由」としては年齢に関わらず「看護職の他の職場への興味」「勤務時間が長い・超過勤務が多い」などが多く、各事業所・施設における「働き方改革」などが看護師定着にとって非常に重要である—。 日本看護協会が1月9日に公表した2017年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人に関する分析」結果から、こうした状況が明らかになりました(日看協のサイトはこちら(概要)とこちら(報告書全文))(2016年度の関連記事はこちらとこちら)。
ここがポイント! 1 訪問看護ステーションや病院で看護師不足が深刻 2 60歳以上の求職者が増加、「多様な働き方」を可能とする仕組みが重要 3 若年への「メンタル面のケア」、全世代を通じた「働き方改革」が看護師定着に重要 4 都道府県ナースセンター、60歳以上や介護施設、病院等への紹介機能が強い
訪問看護ステーションや病院で看護師不足が深刻 少子高齢化が進行し、病院における看護師不足が深刻化する中、2015年10月からは改正「看護師等の人材確保の促進に関する法律が施行され、都道府県ナースセンターの機能が強化されました。従前から実施している「無料職業紹介事業」に加え、「看護師等の資格を持ちながら結婚や出産などで退職した人」の情報を踏まえた復職支援機能などが付加されています(関連記事はこちら)。こうした機能強化により「医療機関等における看護師確保の重要ツール」として都道府県ナースセンターへの期待が高まっています(関連記事はこちら)。 日看協では、都道府県ナースセンターの登録状況などを踏まえて、2017年度における▼求人倍率▼求人、求職者の状況▼応募・就職の状況▼給与―などを分析しています。 まず2017年度の「都道府県ナースセンター」における求人数(医療機関からの募集数)は15万9891人、対して求職者数(仕事を探す看護師数)は6万7614人で、求人倍率は2.36倍となりました(前年度に比べ0.05ポイントの微減)。求人倍率は2014年度の2.79倍をピークに、緩やかな減少傾向にあるようです。 また2017年度の求人倍率を雇用形態別に見ると、▼常勤:2.66倍(前年度から0.05ポイントの微減)▼非常勤:2.16倍(同0.05ポイントの微減)▼臨時雇用:1.25倍(同0.07ポイント減)―となりました。 施設種類別の求人倍率は、▼訪問看護ステーション:3.78倍▼20-199床の病院:2.55倍▼200-499床の病院:2.02倍▼500床以上の病院:1.72倍▼特別養護老人ホーム:1.67倍―などで高く(つまり看護師が不足している)、逆に▼助産所:0.04倍▼在宅介護支援センター:0.15倍▼都道府県・保健所:0.16倍―などで低く(つまり看護師が充足している)なっています。  このうち訪問看護ステーションについて日看協は、▼1事業所当たりでは「勤務者数6.7人」に対し、4.4人もの求人があり、採用に苦労している▼40歳代の求職者が減少しており、「子育て世代の求職を促進する仕組み」が必要である―と分析しています。
60歳以上の求職者が増加、「多様な働き方」を可能とする仕組みが重要 次に求職者について、年齢階級別の割合を2016年度と17年度で比較してみると、「35-44歳」では減少していますが、「20歳代」や「50歳以上」では増加しています。とくに60歳以上で前年度から0.9ポイントも増加しており、日看協では「出産・育児で離職した者や、生活との両立の難しさから就業継続が難しくなった者の求職登録が多いと推測される。セカンドキャリア世代の雇用促進や育児・子育て世代の復職を可能とする『多様な働き方』の仕組みづくりが必要」と提案しています。 求職者が希望する雇用形態を見ても、若年世代では「常勤」雇用を求める割合が高い一方で、高齢になると「非常勤」や「臨時雇用」を求める割合が高くなっていることも、「多様な働き方」の必要性を裏付けていると言えるでしょう。
若年への「メンタル面のケア」、全世代を通じた「働き方改革」が看護師定着に重要 また求職者の「退職理由」(実際に退職した理由)は、年齢階級によって若干異なり、20歳代では「自分の健康(主に精神的理由)」を挙げる声が多く、また増加している点が気になります。日看協では、若年層では「メンタル面のケア」を充実するなど、「年齢階級に応じた定着支援策の構築」が必要と訴えています。 ただし、「退職したい理由」を見ると、年齢階級によらず、「看護職の他の職場への興味」「勤務時間が長い・超過勤務が多い」という声が多く聞かれ、前述した「求人倍率の高さ」を踏まえれば、各施設・事業所における「キャリアアップ制度なども含めた、働き方改革」が喫緊の課題であることが伺えます。  さらに、求職者の「就職に際し重視する条件」を見ると、全体では▼勤務時間(24.6%)▼給与(18.4%)▼通勤時間(16.4%)▼看護内容(15.9%)―となっていますが、「未就業・看護職以外」の人では▼勤務時間(32.0%)▼通勤時間(21.1%)▼給与(19.6%)▼看護内容(19.3%)―、「看護師として働いている」人では▼勤務時間(40.4%)▼給与(38.0%)▼看護内容(28.3%)▼通勤時間(26.9%)―と、若干異なる点が目を引きます。  また「200床以上の病院のみでの勤務を希望する」人が最も重視する条件は「給与」であるのに対し、「特養ホームのみでの勤務を希望する」人では「通勤時間」を最も重視する条件としています。 医療機関等が求人を行う際には、こうした状況も踏まえて「条件設定」や「アピール方法」を考えることが重要でしょう。
都道府県ナースセンター、60歳以上や介護施設、病院等への紹介機能が強い 一方、「都道府県ナースセンターへの求人に応募した人が、実際に就職した割合」は17.9%、「都道府県ナースセンターから紹介を受けた人が、実際に就職した割合」は59.6%となりました。 後者の割合は、ハローワークでは42.2%となっており、で、都道府県ナースセンターの紹介機能は相当程度高いことが伺えます。 また「求職者・応募者の就職率」を、年齢階級別に見ると60歳以上が飛び抜けて高く、施設種類別に見ると、▼助産所(100%)▼居宅介護支援事業所(88.2%)▼デイサービス・デイケアセンター(73.1%)▼都道府県・保健所(72.5%)▼500床以上の病院(70.6%)▼200-499床の病院(70.3%)―などで高く、都道府県ナースセンターのいわば「得意分野」をうかがい知ることもできそうです。 

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