難病カフェで暮らしのヒントを 患者・家族が情報交換

朝日新聞 2018年11月19日

 難病の患者や家族らが集まり、お茶を飲みながら悩みなどを語り合う「難病カフェ」が、全国に広がりつつある。同じ病気の患者が身近にいない人にとっては、貴重な情報交換の場だ。誰もが暮らしやすい社会を、当事者から提案していくきっかけにしたい、との願いも込められている。

「近くの病院には断られ、主治医は隣県にいる。緊急時が不安だ」
 10月下旬、大阪市内であった「難病カフェ大阪」。進行が比較的遅い「ベッカー型」の筋ジストロフィーの息子がいるという女性が話すと、淡路島に住む同じ病気の男性が「かかりつけ医は地元だが、専門医にたどり着くには車で3時間かかる」と応じた。
 集まったのは、大阪や兵庫、京都、愛知から幅広い年代の計14人。会場は「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)内の一室で、車いすの人が来やすいように、段差が少なく、多目的トイレもある。
 話題は、仕事へと広がった。病院の看護助手をしている、潰瘍(かいよう)性大腸炎の女性は「自分の身に何かあっても助けてもらえる」と話した。強いだるさに襲われることがある全身性エリテマトーデスの女性は「無理すると症状が悪化するとわかっていても、急に代わってもらえないことが多い」と悩みを語った。

患者が外に出る機会つくる
 このカフェは昨年10月に始まった。呼びかけ人は、大阪府熊取町の白井祥剛(しょうご)さん(30)。ベッカー型の筋ジストロフィーで、急に足の力が抜けて転ぶことがある。
 通学中に筋肉痛が起きるなど、小学5年のとき、体に違和感をもった。診断は中学生のとき。遺伝性で、おじも同じ病気だった。高校生になると、思うように体を動かせなくなり、自宅に引きこもることが増えた。
 専門学校を卒業後、一度は営業職についたが、体力がもたず、3度の転職を経験。今はフリーでウェブ関連の仕事をしている。カフェは自らの経験も踏まえ、当事者が外に出かける機会をつくり、情報発信もしていきたくて始めた。ブログ(https://nc-osaka.com/別ウインドウで開きます)で告知し、2カ月に1回、開催している。
 この日初めて参加した堺市の猪井佳子さん(53)は手術しないままだと大動脈解離などが起きることもある「マルファン症候群」の患者会の副代表。「一つの県に数人しか患者がいないこともあり、疾患ごとの集まりは難しい。患者会だと『自分たちばかり大変……』と思いがちだが、いろんな病気の患者から話を聞く機会があると、自分の病気を見つめ直すこともできると思った」と話した。
 白井さんは「病気の人が自らの体験を発信して仲間と共有することで、暮らしのヒントを見つけられると思う。難病カフェをそんな場にしたい」。

若い患者が相談しやすい場を
 難病カフェは、2016年、北九州市の団体が始めたとされる。東京都や茨城県などにも広がり、11月には神戸市でも始まった。
 福岡県で難病カフェを開く「難病NET.RDing(リーディング)福岡」の代表、池崎悠さん(26)のもとには、「カフェを開きたいけどどうすればいいの?」という相談がよく寄せられる。患者会が高齢化し、若い患者が相談しやすい場が少なくなっているという。福岡では、レンタルカフェを借り、「おしゃれだな、入ってみたいなと思わせる工夫をしている」。
 外見からはわかりにくい病気は、周囲の理解が得にくい。都道府県が設置する地域の難病相談支援センターは、平日しか開いていないところが多く、働いている人は相談しにくい。カフェは土日に開き、センターの職員やハローワークの担当者にも参加してもらい、その場で相談できる取り組みもしている。
 池崎さん自身も、手や足に運動障害などが出る「慢性炎症性脱髄性多発神経炎」の患者だ。「職場で自分の病気に関することは話せない患者は多い。同じ病気の人と関わったことがない人が、気軽に日頃たまっている愚痴を言う場として、難病カフェが広がってほしい」と話す。
 全国の主なカフェは、難病NET.RDing福岡のホームページ(https://rdingfukuoka.jimdo.com/別ウインドウで開きます)に掲載されている。

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