「地域別の診療報酬」特例は最終手段、まず地域住民の健康増進に注力を―日医総研

MedWatch 2018年11月2日

 財務省などは「都道府県別・地域別の診療報酬」(診療報酬の特例)の実施に向けた準備を進めよと要請するが、これは医療費適正化計画が達成できない場合の「最終手段」であり、また、「医療資源の偏在助長」などの弊害が懸念される。まず、「地域住民の健康増進」に力を入れるべきである―。
 日本医師会のシンクタンクである日本医師会総合政策研究機構(日医総研)が11月1日に公表したリサーチエッセイ「診療報酬の特例についての解釈と課題—都道府県医師会の役割を中心に―」では、こういった考えが示されました(日医総研のサイトはこちら)。

「診療報酬の特例」発動は、厚労相・都道府県・保険者協議会で慎重に検討を
高齢者医療確保法(高齢者の医療の確保に関する法律)第14条では、「厚生労働大臣が、都道府県知事と協議のうえで、医療費適正化を推進するために必要があると認めるときに、1の都道府県の区域内における診療報酬について、合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる」旨を規定しています。いわゆる「都道府県別、地域別の診療報酬」「診療報酬の特例」と呼ばれる規定です。
 財務省や一部自治体、さらに骨太の方針2018(経済財政運営と改革の基本方針2018)からは、医療費の伸びを抑えるために、この「診療報酬の特例」について、▼具体的に活⽤可能なメニューを国として⽰す▼2018年度からの第三期医療費適正化計画の達成に向けても柔軟に活⽤していくための枠組みを整備する―よう要請があります(関連記事はこちらとこちら)。
 
この「診療報酬の特例」を実施するためには、次のような厳格な手続きを踏む必要があります。

(1)都道府県において、医師会等も参画する「保険者協議会」と協議のうえで、医療費適正化計画を作成・実施する(高齢者医療確保法第8条、第9条)

(2)医療費適正化計画終了の翌年度に、厚生労働大臣が、都道府県の意見を踏まえて医療費適正化計画の実績を評価する(高齢者医療確保法第12条)

(3)各都道府県において「保険者協議会」での議論も踏まえて、「診療報酬の特例」適用の必要性を検討する((2018年3月29日付けの厚生労働省保険局医療介護連携政策課長通知)

(4)厚生労働大臣が実績評価を踏まえ、都道府県と協議のうえで「診療報酬の特例」適用の必要性を判断する(2018年3月29日付けの厚生労働省保険局医療介護連携政策課長通知)

 大まかに整理すれば、▼厚生労働大臣▼都道府県▼保険者協議会(地域の保険者や医師会、歯科医師会などが参画)—で、医療費適正化計画の達成状況を詳細に分析し、「診療報酬の特例」が必要か否かを慎重に判断することが求められていると言えます。
 日医総研では、この「診療報酬の特例」は、「地域の実情を踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供
する観点から見て合理的であると認められる範囲内」(高齢者医療確保法第14条)で、謙抑的かつ慎重に必要性を判断することが重要と指摘。さらに、医療費適正化のための「最終手段」であり、そこに至らないように▼地域の実情を踏まえた医療費適正化計画を策定する▼医師会や保険者が協力して計画を実施する▼計画の実績評価に当たっては、保険者協議会で議論を尽くす―ことが必要と強調します。
 さらに、財務省等の要請に対しては、▼都道府県が予防・健康づくりをおろそかにして、診療報酬のコントロールに頼るおそれがある▼患者・医療従事者の移動によって地域医療資源の偏在が助長されるおそれがある(経済理論に照らせば、患者は単価の安い地域での受診を希望し、医療提供側は単価の高い地域への移動を希望すると考えられる)—などの弊害を指摘。医療費適正化を推進・達成するためには、まず「地域住民の健康増進」に取り組むことを重要と、強く訴えています。

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