介護・医療 利用者負担こう変わる(下)高額療養費制度 見直し 小手先の変更で複雑に

日本経済新聞 2018年8月3日

 医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度。医療の高度化で、年齢を重ねるほど1人当たりの医療費はかさむ。現役世代との負担をなるべく公平化するため、70歳以上の高所得者の負担をさらに増やすしくみに変わった。

すぐ計算できず
 「ここまで複雑な計算式になると、上限額がすぐに計算できない。高齢者はなおさらだよ」。都内で診療所を営む60代の医師は、1日からの制度変更を説明するリーフレットを見ながら困惑の色を隠さない。
 これまで自己負担の上限額が一律だった70歳以上の「現役世代並み所得者」は、課税所得で3つに区分された。「690万円以上」「380万~690万円」「145万~380万円」だ。それぞれで上限額の計算方法は異なる。
 690万円以上の場合、月あたりの上限額は「25万2600円+(医療費―84万2000円)×1%」で算出。8月の診療分から切り替わる。これに従うと、1カ月に100万円の医療費がかかると、自己負担額は25万円を超える。変更前は約8万7千円なので、17万円ほど負担が増える。
 高額療養費制度は医療機関や薬局の窓口で支払った額が1カ月で上限額を超えた場合、超えた金額を公的医療保険から支給するしくみだ。医療は介護に比べ、高度ながん治療など莫大な金額が必要になることもある。自己負担に上限があれば利用者の安心につながる。

抜本策は消極的
 「福祉元年」といわれる1973年、導入された当時の上限は「月3万円」のみだった。ところが医療費の膨張が問題視されるようになり、所得に応じて上限の見直しが始まった。
 国民医療費がこの10年で3割ほど増える中、ここ数年で上限の引き上げが進んだ。今回の制度変更は、負担能力のある高齢者に応分の拠出を求めることで、財政負担の軽減や世代間の公平を図る。一方で、区分が6つに分かれ、計算式も一見して上限額が分からないような複雑なしくみになった。
 今回の改正による国庫負担の軽減効果は数百億円。年10兆円以上の国庫負担に比べれば微々たるものだ。医療費を抑制する抜本的な対策として75歳以上の自己負担割合を1割から2割に上げる案が検討されるが、高齢者や医療界の反発で政治は及び腰だ。
 日本総合研究所の西沢和彦主席研究員は、高所得者層の負担増での対応について「社会保障費の膨張が続く中、小手先の対応を繰り返すのはもう限界だ」と指摘。そのうえで「医療の無駄につながる出来高払いから定額払いへの転換や、予防医療の推進による医療費抑制などが必要だ」と主張する。社会保障全体の負担と給付のバランスを早急に議論すべき時期に来ている。

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