疲弊する介護業界、集約進むか 福岡の事業者が東京の同業買収

日経新聞 2018年7月23日

 介護施設を運営する創生事業団(福岡市)は、首都圏の同業である未来設計(東京・港)を買収した。全株式を取得し、買収額は数十億円規模とみられる。介護の需要は高まるが、担い手となる事業者の多くは中小。介護給付費の抑制や人手不足で事業環境は悪化しつつあり、撤退を迫られる例が相次いでいる。大手を軸に業界が集約に動く可能性が出てきた。
 未来設計は首都圏で37の介護施設を運営しており、売上高は約110億円。後継者難や経営悪化から売却を決めたようだ。売却先に創生事業団を選んだのは、中小のM&A(合併・買収)や事業再生の経験が豊富なためとみられる。創生事業団のグループは売上高が350億円規模と業界大手に躍り出る。
 介護市場は拡大の一途をたどる。介護事業者の主な収入源である介護給付費は16年度に約9.7兆円で、この10年で約6割増えた。一方で、国は介護報酬改定などを通じ介護給付費の抑制に努めており、介護事業者の収益悪化に直結している。
 17年7月に自己破産を申請したほくおうホールディングス(札幌市)。北海道で介護関連施設二十数カ所を運営していたが、二十数億円の売上高に対し、負債総額は40億円強に上った。介護報酬の引き下げなどが経営悪化の引き金となった。
 介護業界は大手のシェアを合算しても数%で、中小の事業者が大多数を占める。その中小の経営が悪化している。東京商工リサーチによると、17年度の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は介護保険制度が始まった00年以降最多の115件に達した。倒産したのは従業員5人未満の事業者が全体の6割を占めた。
 人手不足も介護事業者の経営に重くのしかかる。18年5月の介護職の有効求人倍率は3.66倍と全体の1.33倍を大きく上回る。25年度末には55万人の介護人材が不足するとの試算もある。
 首都圏のある社会福祉法人。高齢者施設を200床規模で運営しており売上高は10億円程度。運営開始から十数年たった施設の老朽化も進むが、改修費用を調達するのも一苦労だ。さらに創業者のオーナーは既に高齢で、息子は悪化した経営状態を嫌って跡取りに消極的。オーナーは泣く泣く介護大手に施設や人材ごと事業を譲渡した。このような事業承継やM&Aが相次いでいる。
 受け皿と期待されるのが大手だ。介護業界の首位がニチイ学館で、SOMPOホールディングス(HD)傘下のSOMPOケア(東京・品川)、通信教育大手のベネッセHDが続く。売上高1000億円規模の事業者は3社のみ。100億円規模でも十数社にとどまり、中小は大手に集約されていくとの見方がある。
 介護事業の収益は国が定める介護報酬に依存する。各社はIT(情報技術)の活用などで生産性向上に努めるが、介護で大きな利益を上げるのは難しい。資金余力を持つ異業種からの参入組がM&Aの台風の目となる可能性もありそうだ。

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