「医療ケア児」保育所に…看護師が常駐、たん吸引…福岡市がモデル事業開始

読売ONLINE 2018/07/19

福岡市は、保護者の就労支援などを目的に医療的ケア児を受け入れるモデル事業を市立千代保育所(博多区)で始めた。ただ、普及に向けては対応できる看護師や保育士の確保が課題となっている。

 「せきをしてみようか」。同保育所で今月上旬、看護師の石峯佐知子さん(45)が昼寝から目を覚ました男児(2)を優しく促した。のどに装着した呼吸補助具からたんを吸引すると、「上手に出せたね」と笑顔で声をかけた。

 男児は気管の一部が狭い「声門下 狭窄きょうさく 症」と診断され、呼吸補助具を装着している。たんが詰まると呼吸困難になる恐れもあることから、起床時や食事の前後などに吸引をする必要がある。

 母親(32)は就職のために預け先を探したが、「前例がない」などの理由で約40施設に断られた。モデル事業を利用して、ようやくパートの仕事に就くことができ、「ほっとしています」と表情を和らげた。

 モデル事業は、ケア児の支援を自治体の努力義務とした2016年の児童福祉法改正などを受けて開始。他の認可保育所と同じ保育料で1日8時間、週6日間受け入れ、新たに採用した看護師2人が交代でケアに当たる。今年度、市立保育所7か所のうち保育室が比較的広い千代保育所で実施、3人の利用を想定している。

 厚生労働省によると、ケア児は全国で約1万7000人(2015年度、19歳以下)と推計される。だが、未就学児を対象に、都道府県や政令市などで実施した16年度の調査では、保育施設での受け入れは292か所、計323人だった。

 福岡市は6月現在、未就学のケア児を102人と推計しているが、モデル事業利用者は男児1人だけ。私立施設での受け入れも1か所、1人で、ケア児受け入れに対する認知度の低さなどが背景にあるとみている。

 普及に向けては、ケアを担う人材の確保が急務となっている。市は看護師の配置だけでなく、都道府県が認定する研修や講座を受ければケアができるようになる保育士に受講を勧めていく予定だ。だが、費用は原則、施設や個人の負担。加えて、市の担当者は「保育士そのものが人手不足。講座、研修に割り当てる余裕がないのが実情」と明かす。

 市はモデル事業を通じて年度内に安全対策の手引をまとめる。今後、市立施設での拡大を図り、私立にも受け入れの必要性を呼びかけ、支援策を検討していく。

 名桜大の松下聖子教授(小児看護)は「受け皿整備に時間がかかれば、就労できない親の経済的な負担感も大きくなる。行政はニーズを把握し、民間を対象にした補助制度を整備することが必要だ」と指摘する。

          ◇

【医療的ケア児】  先天的な病気などにより、たんの吸引や管を通じた栄養補給といった日常的な医療支援が必要な子ども。医療の進歩で以前は救えなかった子どもが助かるようになったことを背景に、厚生労働省の推計では、2005年度の9403人から10年間で1・8倍に増えた。

先進自治体で手厚い支援…人件費補助、拠点設置も

 医療的ケア児に対し、全国では手厚い支援態勢を整える自治体もある。

 保育施設での受け入れが14人の堺市では、公立1施設につき看護師らが最大3人で対応、保育時間も延長している。また看護師らの人件費を補助し、私立の保育施設も活用できるようにしている。川崎市は七つの区ごとに、受け入れ拠点保育所を設置。衛生面を考慮し、ケア児専用のスペースをつくって対応している。

 厚労省は「対応する自治体が少しずつ増える一方、受け入れの必要性への認識がまだ広がっていない。国にも看護師配置に対する補助メニューがある。これらを示しながら周知を図っていきたい」としている。

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